球形スピーカー

はじめに

手作りアンプの会 2008年冬の関東地区お寺大会のテーマは、「3x6 板大会」でした。 つまり、サブロク(1820mm×910mm)の板 1枚でスピーカーを作るというものです。

サブロク1枚でスピーカーを左右1本ずつで計2本つくるとなると、単純な箱の場合40cm×30cm×30cmくらいです。 でもバスレフやバックロードホーンなどの定評のある方式では良い音がして当たり前です。 今回もウケ狙いの方向で考えてしまいましょう。

そこで思いついたのが球形のスピーカーです。 やはり球は漢のロマンですから。

設計

最初に思いついた自在錐でドーナツ形のパーツを作って重ねる案は、どうにも板取りが出来ずに挫折。 そこで円形ドーナツ形ではなく16角形でのドーナツ形としました。 これならば各パーツは直線で構成できますので、板取りの効率もあがります。

今回は、板厚を12mm、スピーカーを10cmとして設計します。

半球の中心部から外側に向かって各層に番号を付け、内径の円で接する高さ(1)にのりしろ分を追加して外径(2)を算出します。

各層では16角形として、先に求めた内径(1) と外径(2)から、幅(3)、内幅(4)、外幅(5)を算出します。

台形は向きを交互に替えると効率よく収容できます。 半球ごとに16角形が1個ですから、全球を2個だと、各層で4倍の64個が必要になります。

17番はスピーカー取り付け用に作成するので、前面側だけで32個の台形のみを作成します。 後ろ側は、残りの部材を円形に切りとって作ります。

なるべく効率が良くなるよう板取りをすると、内径(直径)400mmの球が作れました。 参考に、Excelファイルを置いておきます。

製作

板は、12mmのMDFにしました。

最初はジグソーで切り出そうとしたのですが、どうにも精度が出ずに挫折。 結局、バンドソー (リョービ TBS-80)を購入して切削しました。 簡単なジグを作成して、まずは番号ごとに縦に切り出します。

さらに、簡単なジグを使って、台形を切り出します。

各層ごとの16角形を作ります。 平らな面に型紙を置き、サランラップを貼って木工用ボンドが型紙に付かないようにして、木工用ボンド速乾タイプで接着します。

16角形ごとに接着します。 下の画像のような半球を4個作成して、最後に半球同士を合体させます。

ただし、加工精度が悪く隙間が多いので、木工用パテで埋めました。

スピーカーユニット

安価な10cmとして、ダイトー AR-10Mを選択。

スピーカー取りつけ径が94mmなので、トリマー(リョービ TRE-40)で整えます。 また、4mmの鬼目ナットを仕込みました。

吸音材を少し入れて、耳障りな音を減少させています。

(1/21追記) 大会で、ユニットを16cmにしたらとアドバイスを受けたので、ダイトーボイス DS-16Fに変更しました。 吸音材も、クッション用の綿をほぼ満杯に詰めています。 ついでに、MDFで脚も適当に作りました。 もとの10cmの時の画像はこちら

試聴

お寺大会で鳴らしたところ、結構バランスが良いとの評価でした。 石田さんに測定していただいたところ、ユニットが10cmなので150Hzからだら下がりですが、まぁまぁ見れるF特になっていました。

(1/21追記) 16cmに置き換えて、すっきりと聴きやすくなりました。 密閉なので低音は薄めですが。

さいごに

無塗装ですが、結構面白い仕上がりになったと思います。 16cmに付け替えてみたらという提案も貰ったので、気が向いたら試してみるかも。

(1/21追記) とりあえず、当初の目的は達せました。 メインスピーカーして使うわけではないので、結構邪魔だったりしますけど。


2009/1/1 上野